2013年1月3日木曜日

年末のこと、謹賀新年

 年末に書いて中断、年を越してしまった文章1。
久しぶりに風邪を引いた。今年の2月あたりに人生で始めての風邪と自覚する風邪を引いて以来だ。そのときに風邪とはこうしたものなのか、と、少し実感したせいで、数日前からの何となくだるい寒い感じが風邪だとわかったのである。酒がききすぎてしまう。10日ほど前、忘年会で韓国焼酎を飲んで奇妙な酔いを経験したときに、おそらく風邪は始まっていたのかもしれない。といって、一般的な風邪の特徴、咳や鼻水といった症状はないのだが。そんな風邪の間も外での会合に出かけてしまうので、症状が完全回復しないのかもしれない。年末だから仕方がないか。と、書いて一時中断していたら、あっと言う間のほんとの年末。我が家の大掃除の日々が始まった。まずは本の整理。
研究者としては、それほど多くの本を持っているわけではないが、でも、毎年本は増えていく。知り合いには狂蔵書家も少なくないが、その悲喜劇を見ていると、そして、何よりもネット上で本まで読めてしまう時代になり、本の時代の終りの始まりが始まったような気もする。というわけで、今年の本棚の掃除は、いらない本は売る(買ってもらう?)という掃除の方法にした。もちろん、一部だが、それでも、必要な本、不必要な本と決めていく脳心理的負担が結構ある。でも、そんなことしていたら終わらないので、もう2度と読まないだろうという本は外に出すことにした。それで、買い取りをしている古本屋に何軒か電話。そうすると、すべて引き取れませんというところやハードカヴァーの小説は難しいというところなど、いくつか条件があることがわかった。そうか〜、今や電化製品はお金を払って引き取ってもらうんだもんな〜、本もそういう時代に入ってきたのだろうとため息。古本屋との話の中でひとつ驚いたのは、現在、日本の古本の多くは中国に送られているということだった。えええ〜!おそらくそれは本としてではなく、紙としてなのか?そんなことで、3日かけて書棚と本の整理が終わった。
文章2。
12月になると、新聞・雑誌・ネットでさまざまなジャンルの2012年度ベスト、といった企画が出てくる。昔から、この手の企画が好きなのだが、この頃はどうもベストに選ばれているものがばらばらで、どこかしまりがないし、ベスト10などに入っているものを知らない場合も多い。CD売上げ1位はAKB48の「真夏のsounds good!」と書かれていてもまったく実感がない。当たり前だ、興味がなかったので仕方ない。ぼくの場合で音楽の1位を押すとしたら、といっても今の音楽を聴いてないので1位というより、今年出たCDはこれしか聴いてないのだが、Terakaftというアフリカはマリ出身の、砂漠のロックと紹介されているグループの「Kel Tamadheq」という新アルバム。このテラカフトについては、このブログで1度書いたことがある。これまで知らなかったノリで不思議な酔いに誘ってくれる。
本では『聞く力ー心をひらく35のヒント』という阿川佐和子の本が2位に入っていた。紀伊国屋の数字だ。ちなみに1位は東川篤哉の『謎解きはディナーのあとで3』。こちらはまったく知らない。ライトな推理もの?2位の「聞く力」は週刊文春に連載していた対談を集めたものなのかと思ったら違っていて、対談の経験をもとにした書き下ろしらしい。たまに文春を買うけど、この対談は読まない。どこか胡散臭くて、活字を眼でさっと追うだけで、何か読む気がしなくなっていた。でも、これだけ売れるのは、当然、何かはあるんだろうけど、1番はタイトルだろうな。「・・・の力」。何かはやっている。そして、もうひとつは「心」か。「力」の方は4〜5年前から(もっと前?)何にでも「力」を付ければいいというわけで、ぼくたちの業界も「力」ばやりだ。大学力、人間力、理解力(これは昔からあったまともな言い方でややこしい)等々、他にもいくつかある。悩むことも力らしくて、いつの間に、日本は「力」が好きな国になったのだろう。力がないので、自信がないので、「力」ということだろうが、別に力なんてなくたっていいと考えないのだろうか。ぼくとしては、「力」というイデオロギーが体質に合わない。こんなことを書いてしまうのは、ぼく自身が権力的なのかもしれないが。いいことではない。もちろん、弱いことがいいわけではなく、強さとか弱さといった2元論が怪しいのだ。物事はそんなにすっきりしない。ベストについて書いていたら、他の方向に行ってしまった。ともかく、阿川佐和子の対談集の人生論的臭さがね。
と、考えて、ぼくの本ベスト10は?と考えると、やっぱり1位は、何回か前のブログに書いた『北朝鮮で考えたこと』(テッサ・モーリス-スズキ、田代泰子訳、集英社文庫)である。いつか、こうした旅行記を書いてみたい。旅行記のスタイルの可能性を考えさせてもくれた。あとは?といって、強烈な印象をもった本は少なかった、というより、あまり読まなかったのだ。これも前に書いたが、解釈ということに疲れてきたのである。ある現象について政治的、経済的、文化的な意味を引き出してくること。そのことが面白いと思わなくなってきたのだ。意味は重要だが、意味を考えることが重要な事象と、そうでない事象があるだろう。メディアやネットを通して誰もが意味を考える、解釈の民主主義になることは、逆に、解釈が感情や隠れたイデオロギーのアリバイとなり、さらに、解釈そのものの多様性が失われ1元化してしまうという不幸に陥る、それが目の前に見えてきたような感じもする。というわけで、あと1冊だけ、ベスト2ということだが、あげておくと、こちらは専門といったらいいか、フランス語の昔の本で『ドラクロワの手紙』(Lettres de Eugène Delacroix 1815-1863, A.Quantin, Paris, 1878)。フィリップ・ビュルティーという批評家の本である。まあ、マニア、研究者向けの本。でも、読んだというより、ペーパーナイフでベージ上部を切りながら(フランス綴じなので)パラパラと見ていったのだ。口絵の銅版、そしてタイポグラフィーが綺麗で、序文からは同時代人の熱も伝わる。いい読書(見?)だった。古本屋で安く買ったのだ。これも感激した。
あと、書くべきベストは、映画、サッカー、韓流、食べ物ということになるか。
と、ここまで書いてきて中断してしまったのだ。そして、ここからは1月3日。
ともかく、年末の掃除とガラス拭きで節々がギシギシして、夜には年末・正月用のお楽しみとして借りた韓流ドラマ「ジャイアンツ」を見始めてしまったことも、ブログ中断の原因。ドラマははまった、というより、はめさせられた。全60話。ソウルの江南地区開発を舞台として、貧困、裏切り、復讐、成功、そして愛の物語、そこに現代史が絡む。まあ、韓流ドラマの王道である。家内と子供の反感(反韓ではなく、こっそり見ることに)もかなりなもの。でも、パソコンで、自分の書斎でひっそりと見る内密な時間の快楽である。だからいっそう熱も入る。こんな単純でいいのだろうか。そんなことで、正月も過ぎてきたのだ。さて、

このブログを見てもらっているみなさん、明けましておめでとうございます!2013年が、みなさんにとってよい年となりますよう!
ぼくもよい年にしたいと思います。そのためにはまず健康。誓いはたてないが考えていることはある。これまでの人参ジュースと水素水(これはまだ4ヶ月ほどだが)に加えて、もうひとつ何か毎日の食べ物を見つけたい。何がいいでしょうね?それから新縄文食の徹底化。こうした身体維持に加えて、脳の維持のために何かをする予定。中世記憶術の実践?ブログのいっそうの長文化。嫌われる!でも書くことは、何といっても脳を刺激する。自分の研究のスピードアップ。韓流ドラマを減らそう。そのかわり韓国語の予習復習はしっかりと。新しいピザ屋も見つけよう。それから、これまでの関心事にもうひとつ何かを加えたいとも思う。何?運動、情熱がわかない。現代アート、もう少し見ることに。でもこれは新しい関心事ではない。正月が終わるまで考えることにしよう。
イラン北部1970年(平氏撮影)