2012年9月5日水曜日

夏休みパリ日記1

8月後半からパリ。昨日帰ってきた。3月までの長期滞在は別として、こうした一人での短期滞在のとき、いつも、何しているの?と、聞かれるので、実録日記でもと思い・・・
8月22日:夕刻に飛行場に着いて、一晩世話になるハイジマさんのアトリエに直行。パリに40年近く住む画家で、オペラ座通りのアパートにアトリエをもっているのだ。結局(何が「結局」なのかは長くなるので省略)、トンカツを食べに。
8月23日:午後、借りることになったバスティーユ広場の裏手、ラップ通りのワンルーム・アパートに入る。エージェントのHPの写真で見るよりは、ちょっと冴えない。まあ、値段からいって仕方ないか。荷物を整理して、まずは買物。近くのmonopというスーパー・モノプリ(monoprix)のアンテナショップへ。コーヒー、卵、ハム、スパゲッティー、人参(毎朝のジュース用)などを買う。部屋に帰って、即、パソコンを開いて原稿。シャルダンのシンポジウムでの発表の原稿を持ってきてしまったのだ。締め切りまで、あと5日。フー!涼しいけどまあまあはかどる。夜はこちらに旅行できている太田夫妻と夕食を食べにサンジェルマン・デ・プレに。時々行くヴェトナム料理を目指したが夏休み改装中。それで、フレンチに変更。マビヨンのシンプルなレストランに入る。値段の割に味は悪くなかった。ワインをけっこう飲んで、帰ったら疲れていたのか、爆睡。
8月24日:この日は何も用事がなかったので、部屋で昼前からパソコンに向かう。原稿のストーリーがやっと見つかってきて、何とか出来上がるだろうという感じになってきた。昼はスパゲッティー・ボロネーゼ。たくさん茹ですぎて満腹。出来合いのソースだが、日本のものより甘さがないので、たくさん食べれたのだ。1664ビールの小瓶を飲んだためか、睡魔が。ちょっと昼寝。8月なのに掛け布団を首までかけて寝れるのがうれしい。起きてからまた原稿。シャルダンが、昔のように身近かになってくる。夕食は、部屋で安いステーキと簡単なサラダ、そしてワイン。もちろん、赤。フランスの安いカフェと同程度の味だが、モノプの食材なので格段に安い。夕食後も原稿。何してるんだろうとも感じたが、仕方ない。夜は「la peteite venese」(小さなヴェネツィアの女)というイタリアの映画を見に行く。タイトルは主人公の片方、ヴェネツィアのバールで違法労働をする中国の女性のこと。その彼女と晩年を迎えるイタリアの漁師との心の交流を描いた、海の風景画すごく綺麗な映画だった。
8月25日:昼間は部屋で原稿。終わるのが楽しみで書いている。弟夫婦がパリに来ていたので、夕方は一緒に食事。弟と外国でこんな風に会うのは初めて。オペラ座(ガルニエの方)に付属するおしゃれな風なレストランへ。味、サービスは中の上。トイレ・デザインがなかなか。それからcafe de la paixというオペラ座の前にあるところで、ワイン。ジェーン・バーキンもよく来るという噂だが、当然この日はいなかった。
8月26日。精華の洋画の学生が2人、フランスに来ていて、ルーヴルを案内。ぼくの西洋美術史という授業で、8月の終りのある日、ルーヴル集合して絵を見ようと受講生に声をかけているのだが、これまで一度も来たことはなかったのに、今年は偶然2人もいて、「先生、ルーヴルしましょう!」となったのだ。ちょっとした解説をしながら、広いルーヴルの中を散歩。ぼく自身も久しぶりに名画を見て、やっぱり、歴史に耐えてきた絵はいい!となってしまった。その後、セーブル通り(左岸の画廊街)のLa paletteという古くからある画学生カフェでお茶。ルーブル、あるいはオルセイ、はたまたボザールを見学してから、このカフェというコースは気に入っている。夜は、また別の約束。昔からの知り合いレジスとカトリーヌと一緒にル・ロスタンというカフェで食事。リュクサンブール公園の横にあるシックなカフェである。ここは、ほんとパリっぽい。店構えに比べて料理は高くなく、味もいい。映画やサッカーの話をしながら、小エビとアボガドのサラダを食べる。
*今回は、日本での知り合いがパリに旅行や研修で来ていて、ご飯を食べる機会が多かった。珍しいことなのだが、乾燥して爽やかな夏の終りのパリで、久しぶりと言いながら日本の知り合いとカフェでビールやワインを飲むのも楽しかった。
8月27日:バスティーユ広場の近くで、おいしいピザ屋を発見!ボーマルシェ大通りにあるgrazieと名前で、店作りはけっこうおしゃれ。パリのピザはまずいというのが定評で、実際、いろんな店に入ってきたが、満足感は、いつもイマイチだった。この店は、その「パリ・ピザ」を完全に裏切るピザ屋だったのだ!アンチョビのはいったピザが食べたかったので注文。一番高く20ユーロ!アンチョビは缶詰ものではなく、手作り(メニューには誰がつくったのかも書いてあったが、忘れてしまった)。こんなマイルドなのは初めて。それとトマトソーズのピザで、チーズはないのだが、ほんと美味しかった! この日以後、2回来て他のピザも食べたが、どれもレベルが高かった。昼のピザを食べてから、トロムという、これも20数年つきあっているアーティストの見舞いにバニョレという町の病院に。背中の骨を折ってしまって入院。3ヶ月目に入っていたが、手術もせずに治ったとのことで、一安心。フランスの病院の規律のなさに怒りまくっている超左翼的思想の現代アーティストである。精華にも来たことがあるが、ぼくの尊敬するアーティストの一人である。2000年に入ってから、現代アート世界に背を向けてしまった、現代アーティストである。アートとは何をするものなのかを教えられたのも彼からだった。パリに来て、もう1週間近くたってしまったのだった。

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