2010年8月25日水曜日

パリで夏休み

パリに来ている。10日ほどの滞在。ここははもう秋。トワ・エ・モアの歌のフレーズのような言葉が自然にでてくる。ともかく、今年の灼熱、灼湿気(?)から脱出できた。いまさらパリについて書くこともないが、ぼくにとっては一番身近な外国の都市なので、とりたてて旅行しているという気分がない。
今回は、ホームステイをしている。世話好きのイラン出身のおばさん(社会学者とのこと)のアパートの一室を借りているのだ。おばさんといっても、ぼくもおじさんなので、同年代の婦人である。
一人の外国旅行で、ひとつだけ困るのは夕食である。夜、米や麺類を食べない食事であることと、こちらでは夕食時に一人でレストランに入りにくいので、自炊ができる台所のある宿泊場所を探すことになる。コンドミニアム形式のアパートとかストォディオ(ワンルームマンションとでもいっていいアパート)、あるいは今回のように、一種のホームステイである。この夏はなんとなくホームステイを選んだ。パリの大学都市の向かいの集合高層住宅群の一角。
10日くらいの滞在だと、コアな資料収集はできないので、主に本探しということになる。古本と新刊。当たり前だが、関心のあるテーマを扱った専門書はいくつもある。昨日も4、5冊買った。そのうちの一冊はフランス19世紀の美術制度を扱った名著(になってしまったと言えばよいか)の文庫本、ハリソン・ホワイトとシンシア・ホワイトの
La carrière des peintres au XIX siècle, Flammarion,2009. (原著Canvases and Careers--Institutional Change in the French Painting Worldは1965年刊で仏訳は1991年にすでにでている)。昔コピーで読んでためになった。細かな部分を忘れていたので、改めて仏訳を読んでみたが、その後のこの種の研究の進化もあって、目新しいことは以外となかった。名著とはそんなものである。
こんな風に、本を買い読み、カフェでパソコンをたたき、あとは映画を見て、たまに展覧会を見にいく。けっこうな生活だ、と自分でも思う。その映画。
パリは映画都市である。ここに来ると毎日一本は映画を見る。その上、世界中の映画がかかっているのでうれしい。一昨日と昨日はアルゼンチンの映画を観た。昔からアルゼンチンに興味があるのだが、京都でその香りを探すのは難しい。ともかく、これまでもパリ滞在中にアルゼンチンの映画がかかっているとかならず観にいってしまう。けっこう退屈なのも多いが、その退屈さがまた、ぼくにはアルゼンチンとも思えるのだ。一昨日の「雨」という映画は、ただただ画面に雨が降っていた映画だった。女と男の偶然の三日間の出会いが、ブエノスアイレスの雨の中で繰り広げられるという単純な話しで、退屈だったが、不思議と雨の映像によって見さされてしまった。映画館を出たら澄んだ夜の空が広がっていた。8月末のパリである。

1 件のコメント:

  1. 初コメ。パリの日常の風景見たいです
    帰国後にでも是非アップして下さいー :-)

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