2011年9月20日火曜日

バスケット、ラグビー、ユマニテ


9月半ばの日曜日夜(これを書き始めた時間帯)。バスケットのヨーロッパ選手権男子決勝を見終わったばかり。普通、バスケは見ないのだが、フランスが初めて決勝に勝ち進んだことと、急遽生中継が一般TVでも見れるようになって、これはとテレビの前に。結果はスペインの貫禄勝ち(強い!素人でもわかった)。バスケットはフランスで結構人気がある。トニー・パーカーというNBAのスター選手と今年ナショナルチームに加わった、ヨアキム・ノアという若い、これもNBAの選手の2人が人気を呼んでいるためかもしれない。そのノアは父親がカメルーンに出自を持つ、かってのテニス界のスター(現在は人気のポップ歌手である)ヤニック・ノア(ぼくの世代ならよく覚えている)、母親がミス・スウェーデンというサラブレット。フランス、アメリカ、スウェーデンの3つの国籍をもち、今回はフランスを代表チームとして選んだこと、そして父親が息子の応援に会場のリトアニアまで駆けつけているといったことも話題になっている。ただし、父親ノアは、決勝戦の日、パリでの「ユマ」と呼ばれる共産党の秋祭りに出演で会場にはいなかったのだが、このことも話題になるだろう。息子のプレーに迫力がないように感じたのは、そのせいもある?
本当は、ぼくも「ユマ」に行く予定にしていたのに、朝早くから昼過ぎまでずーっとラグビーWCを見ていて行けなかった。イギリスとグルジア、そしてフランスとカナダ。どちらも、強豪が順当勝ち。でも、日本と戦うカナダは結構いいチームだった。大丈夫か?ともかく、WCの決勝は10月23日。誕生日なんです。1ヶ月半という長丁場。まあ、ファンとしてはうれしいし、それも時間の関係で午前中というのもいい。こっちにいてよかった!と思うのだが、パリに来て何やってんのと言う人もいる。それはそれ、スポーツがきちっとスポーツである国で、試合を見るのは幸せなことなのだ。
さて、少し触れた「ユマ」。これは共産党の機関紙「ユマニテ」の略語で、そこが主催する大祭り。日本では赤旗祭り。参加したことはないが、メディアで知るその祭りと「ユマ」とは大違い。これまで2回行ったことがあるのだが(加えてイタリアでも行ったことがある)、かなり楽しめた。とにかく、3日間にわたっての大ロックフェス、ジャズフェス、芝居といった催し、討論会(これは当然か)、そしてフランス全土と海外(キューバも来ていた)からの物売りや食べ物のブースが立ち並ぶ、大々的な、そのうえかなりリラックスしたフェスティバルなのである。今年のゲストは残念ながらジョーン・バエズ(やっぱり?)とノアしか知らないが、おそらく人気のグループがいるに違いない。大ステージに加えて、小ステージもあり、こちらは売り出し中のグループなんかが出てくる。こんなこと書くなら行けばよかったと後悔してしまうのだが、ともかく、前夜に友人宅で上等なワインとともにたらふく食べて、翌日(「ユマ」に行こうとしていた日)、最初に書いた朝早くからラグビー観戦。さすが疲れてしまったのだ。でも、ラグビーとバスケットのテレビ観戦で気持ちのよい日曜ではあった。
一番好きなサッカー(フットボール)は、スカパーのようなチャンネルが見れないのでストレスがあるが、これはスタジアムで見ようと思っている。とくに今年、アラブ・マネーを得て金持ちクラブになったPSG(パリ・サンジェルマン)は見逃せない。フットボールというスポーツはお金と比例してスリリングになる残酷なスポーツなので(スポーツ自体がそうなのだが)、お金が深く関係する。なかでもフットボールは、世界的にみて一番の後期資本主義の権化的スポーツである。それに酔うのは、フットボールが欲望をカタルシスに変えるシステムをもっているからである。そうだとしたら、そのことは時代が突っ走るグローバル金融的システムに似ている。
こうしたシステムと戦わなくてはならないのが共産党だとすれば、その戦略はどこか間違っている。とくに日本の場合は。といって、教条的なところが少ないフランスの共産党(「ユマ」を見ていてそう思うだけなのだが)も低落傾向がはなはだしい。残酷な現代の世界システムの「裏」を追求してしまっているためかもしれない。そもそも「人間性」(「ユマ」はユマニテ(人間性)の意味)を善ととらえるようなところが少しおかしい。何かを、正しいものとして捉えてしまうことの罠にはまっていると思う。
こんなことを書くつもりではなかったのに、何のせいなのか?今日、月曜日で、このブログを書き初めてから1日たち、ワインも抜け、キリッとした空気の中、パリの美大(ボザール)の図書館に。そこで里見宗次という戦前のデザイナー(学生時代は絵画専攻)のデッサンを見せてもらった。1925年にボザールのコンクールでの賞をもらったものだった。これは発見!感激したのだった。このことは来月サンケイ新聞に書く予定。それにしても今年9月のパリは寒い。

0 件のコメント:

コメントを投稿