2011年9月5日月曜日

Very British! ブライアン・フェリー、ボン・マルシェ














パリにボン・マルシェという百貨店がある。観光的にも有名なので、パリに来た人は知っているだろう。左岸のセーブル=バビロンという地下鉄駅を降りてすぐのところ。パリで初めての百貨店としても有名だ。確か、1830年代に創設されたのだと記憶する。現在のような百貨店イメージをつくったのもここだと言われている。パリには他にもいくつかの有名な百貨店があるが、個人的にはここが一番好きである。一階の食料品売り場は、質、量、親切度でパリ一番かと思う。ちょっとしゃれたテイクアウト飯をするときは、ここの惣菜でという気持ちなる。
それ以外に、ボン・マルシェの特色は全体に漂うイギリス趣味である。昔から感じていたのだが、何とこの夏からのキャンペーンが、まさにそのイギリスど真ん中。
フランスの人がイギリス文化に触れて、それを形容するとき、「very british」と言うことがある。どうして「イングリッシュ」と言わないのか知らないが、ブルトン人がフランスにやってきた大昔からのフランスとの関係によるのかもしれない。ちなみに、画家ゴーギャンたちがコミューンをつくったことでも知られるブルターニュ半島は、そのブルトン人が支配した土地である。
ともかく、この9月のボン・マルシェは
「very british」なのだ。その言い方を下敷きにして現在のキャンペーンのコピーが「So London」となっている。そして、そのメインキャストが、あのブライアン・フェリー。ロキシー・ミュージックの時代から聞いてきたダンディーなポップ・ロッカーである。なんせカッコイイ。こんな男に生まれてきたかったNo1である。そのブライアン・フェリーのいくつかのポーズがポスターを飾り、ウインドーに貼られている。このブログは、書いた内容にあった写真を載せないのを原則としているが、今回だけは、禁を侵し、2点の載せることしよう。
さて、フランスとイングランドの関係は、歴史的に複雑なものがある。大昔のブルトン人の時代はともかく、海峡の向かいの国が、フランスに先駆けて近代国家を築いていったこともある。それに対する、一種の憧れ?嫉妬?というのはあったのではないか。たとえば18世紀のパリにはそんな気分があった。それを19世紀、20世紀も引きずっているようにも感じる。ともかく、すべての分野で互いに意識し合ってきたことは間違いないだろう。極端に言えば、ブリティッシュと違った文化をつくろうちょいう意識がパリにあったのではないかとも思う。ぼくが惹かれるのは、フランス(パリ)の見るイギリスである。もちろん、それはパリ風に改変されている。そして、日本人のぼくはフランス風ブリテンを日本的に見る、この重層する文化イメージの感じがいいのだ。なかなかわかってもらえないが。ともかく、いわば近代の香りを残すボン・マルシェがイギリス趣味として選んだのが、ブライアン・フェリーであるところが、さすがというほかない。まあ、これは左岸の7区という伝統的な生活様式を残す地区の話ではあるのだが。


0 件のコメント:

コメントを投稿