2010年7月5日月曜日

祭りの終り

French Libraryというのに、W杯のことばかりなのは、この図書館はカフェも兼ねているので、テレビもフットボールだけは見ることができるというヴァーチャルな場所なのだ。と、W杯のことばかり書いてきたが、ついに4強、あと4日で祭りが終わる。少し前にも書いたが、今回は面白い!準々決勝の数々のドラマは、他のエンターテイメントでは味わえないものだった。映像は残酷なものである。ギャンやカルドーソの絶望感を楽しめてしまうからだ。
そういえば、デュ・ボス師という18世紀フランスの哲学者が、残酷な絵なのに我々人間は楽しめる、というようなことを言っていたが、確かに絵も含めて映像の真実である。フットボールにはそうした絵が少なくない。準々決勝でのガーナ、パラグアイ(日本戦とは違ったチームになっていた)はそんな試合をした。アルゼンチンは応援していただけに残念だったが、メッシをマラドーナにかぶせたのが間違っていた。でも、マラドーナには次のブラジルでも監督をやってほしいとは思う。戦術家をコーチに迎えて。
ベスト16に入ったおかげで、日本はちょっと自信をつけたようだが、それはこれから欧州のクラブに行く人の活躍しだいだろう。ぼくはW杯で活躍してくれる以上に、欧州のクラブで個々のプレイヤーが躍動して欲しいのだ。その方が楽しみが増える。日本人にはまだそうしたプレイヤーがいない。中田がいたじゃないかという人も多いが、彼が活躍したのは最初のペルージアだけではなかったか。ローマでは数試合であっと言わせたが、平均的にはパク・チソンの半分もいっていない。パルマでの司令塔失敗については誰も無視している。パク・チソンのような、あるいはボルトンのイ・チョンヨン(うまくいけばパクを超えると思っているが)躍動を誰か日本人が見せて欲しいと思っている。
ともかく、あと少し。1ヶ月近く家にこもっていたので身体がなまり、7時間差を暮らしてきたので体内時計も狂っていて、これではいけないと思い、一昨日の日曜日は町へ出て、久しぶりに映画を観た。前から観たいと思っていた『オーケストラ』(原題ル・コンセール)というフランス映画。最後の昔の仲間とパリのシャトレ劇場でチャイコフスキーを演奏する場面が感動的だったのだが、テーマの基調をなしていたのが、社会主義時代のロシアのユダヤ人だったということで感慨もひとしおだった。似たような境遇の人にお世話になったことがあるのだ。その人は画家だったのだが。それからヴァイオリニストのアンヌ=マリーを演じていたメラニー・ロランがナスターシャ・キンスキーに似ていたこともうれしかった。
これでオランダが優勝してくれたら、この6月から7月初めの季節は深く心に刻まれるはずなのだ。

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