2012年1月28日土曜日

マンガという現象、パリのK-POP


そろそろブログを更新しようと思っていたら、寒波がやってきて、頭と指がちじこまり、そのうえ、仕事ともろもろのことが重なり、気がついたら前回のブログは3週間も前。この半年近くは、自分の備忘録としても1週間に1回は更新しようと思っていたのだが。ブログを更新していくのはほんとエネルギーがいる。アルゼンチンではしゃいでしまって、少し精神的エネルギーがダウンしているのかもしれない。まあ、長めのブログということもあるが。
先週1週間ほどは、マンガのことでフランスの人たちと会ったので、そのことを書こうかと思ったのだが、なかなか考えがまとまらなかった。日本のマンガ(アニメやゲームも含めて)が大人気なのは、日本でもよく知られているが、この現象がどういったものなのかを説明するとなると、けっこう難しい。人気があるのは確かだ。数日前、アパートから10分で行ける展示場で行われた「パリ・マンガ」という大きなマンガとゲームのフェスティバルに行ったが、やっぱりかなりの人。コスプレとアニソンと参加型ゲームで会場は盛り上がっていたが、ただし、日本の雰囲気はそれほどない。いつも書いているけど、フランスの若い人が解釈する日本のマンガ文化である。それは20万人を集めるようになったという「ジャパン・エクスポ」でも同じだ。日本の新しい文化を独自に解釈する西洋。この現象は文化論的にすごく面白い。といって、現象をはっきりさせようとすれば、文化論というものの胡散臭さを超えた視点と論理が必要だ。そうした批評をあまり見たことがない。
マンガが大人気といっても、実は、今年などはマンガ現象に陰りが見えてきたというのが何人かのマンガ通の話である。実際、世界的な国際BD(フランスのマンガ)祭で知られるアングレームでは、これまでの日本を意識した「マンガ館」の名前をつけた展示場がなくなりーつまり、マンガ=日本という意識が薄くなっているということだがー、代わって「マンガジー」(アジア・マンガ)という、より広くアジア(といっても韓国、中国、台湾だが)地域のなかでマンガ的表現と現象を見ていこうというものに変わってきたのかもしれない。今年は台湾が独自の展示場をつくっていたが、来年は韓国が大々的にフィーチャーされるようだ。
マンガだけでなく、この1〜2年のフランスでの韓国の存在感は急激に上昇している。このブログでも韓国映画祭のことを書いたことがあるが、韓国の経済パワーに押されて文化面でも急上昇である。といっても、韓国パワーは、バルル期の日本の感じとは少し違っているとみえる。ブランド品を買い尽くすようなかっての日本人観光客の熱気ではない。そうした観光的熱気は、いまは中国人観光客が担っていて、ああ、日本もパリでこんな時代があったな〜と、懐かしくさえなるのだが、韓国はなにかちょっと違う。統計も調査もしてなく個人的見聞からの想像だけだが、経済と文化が一体になってフランスという国での自国浸透を考えているという感じなのだ。
たとえば、サムソンの大々的広告がシテ島の裁判所の壁に現われる。歴史的文化遺産としての裁判所の建物の改装に資金を提供しているからである。他の場所にもあったかと思う。LGもある。もちろん、ソニーやトヨタも同じような活動をしてきただろうし、いまもやっているだろう。しかし、そのことが日本の文化活動と一体化していたわけではなかったように思う。でも、韓国は政治、経済、文化が一体となっていると感じる。そのことに日本ではヒステリー的差別言説があるが、馬鹿げている。フランスでは韓国のこうした浸透に自然体である。まあ、歴史の違いと言えばそれまでなのだが、グローバル化する世界で、極東の過去を、昔のイデオロギーで考えても意味ないことなのだ。
そんな中、数日前にパリのベルシー(大阪城ホールのような場所)であった、Music Bank-K-POPフェスティバルを見に行った。KBSの人気番組パリ版である。少女時代、2PM、4Minutes、T-ARA、Beast、SHinee(あと数組)といった人気グルーップの、昔風に言うなら、顔見せ興行である。家内は行かないというので一人で。それも大寒波の中を。日本ならためらうところだが、フランスには年齢関係なし的雰囲気があるのでチケットを買ったのだ。それも日本なら数時間で売り切れだろうが、2週間前でも手に入ったのだった。ウイーク・デイのためらしいが、実際にはほぼ満員(1万人くらいか)。ぼくの席は一番安い席。そしたら何とまわりはフランスの女子高校生ばかり。でも、やっぱりサンパ(カジュアルで気さくというフランス語)。違和感は全然持たれなかった(と思う?)。ボンジュールと言って席につくやいなや、ねーねー、誰が好きなのと聞いてくる(少女時代と答えておいた)。当然ぼくも、おじさん評論家的に質問。彼女たちはラ・ロッシェルというパリから2時間半ほどの港町から来ているという。遠いね、というと、何言ってるのよ〜!あそこを見て、あのイタリアの国旗。向こうににオランダの国旗。あの子たちは私たちよりもっと遠いでしょう!わかった、わかった。どのグループが好きなの?2PM、ワッワッワッ!といった話をしている間に開演。もう嬌声とダンスで大変。やっぱりミーハー、追っかけが集まる場は独特の熱気がある。
こんなこと書いていると、何ページあっても足りないが、ともかく、初めて見たK-POPスターたちの公演はすごく面白かった。客席の熱狂といい、それぞれのグループの独自のパターンが面白かったし、やっぱりかなりのスペクタクル度だった。少女時代はちょっと生彩を欠いていたと感じたが、もう完全に大物になったということか。ぼくは2PMと4Minutesのステージが気に入った。隣のフランス女子高校生にそのことを告げて「オヴォワール!」と言うと、またね!外に出ると、マイナス7度。

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